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万葉神事語辞典


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項目名 かむなびやま
表記 神奈備山
Title
Kamunabiyama
テキスト内容 カムナビの語は万葉集に23例、出雲国風土記に8例、出雲国造神賀詞に3例みえる。この用例の偏りからカムナビは「出雲系統の神を祀った処」(折口信夫)とも説かれる。出雲国造神賀詞には、大穴持命が「和魂」を大三輪のカミナビに「御子阿遅須伎高孫根の命の御魂」を葛木の鴨のカムナビに、「事代主命の御魂」を宇奈提に、「賀夜奈流美命の御魂」を飛鳥のカムナビにそれぞれ「皇孫の命の近き守り神」として配祀したことが伝えられている。また、出雲国風土記に登場するカムナビは「山」の例で、万葉集の例も山に関わるものが中心となっており、中でも、飛鳥のカムナビ山は「神岳」(3-324)と呼ばれ、神のいます神聖な山と考えられていたことがわかる。語源説についてはカミノモリが音韻変化したとみる賀茂真淵の「神の森」説、山の意の語が融合し、音韻変化したとする折口信夫の「神の山」説、ナビを隠れる・籠る意の動詞の活用形とみる武田祐吉の「神隠山」説、ナビを蛇の古語とみる高崎正秀の「神蛇山」説などがある。「神奈備山(かむなびやま)」は飛鳥の地を象徴的に示しているものの一つである。万葉集に「春されば 花咲きををり 秋づけば 丹の穂にもみつ 味酒を 神名備山の 帯にせる 明日香の川の…」(13-3266)明日香川を帯にしていると詠われ、聖なる山として表現されている。比定地としては、「雷丘」とも「甘橿丘」とも言われてきたが、岸俊男が橘寺の南に位置する「ミハ山」を、櫻井満は飛鳥川上流の「南淵山」を提唱している。
岸俊男「万葉歌の歴史的背景」『宮都と木簡』(吉川弘文館)。櫻井満「カムナビ考」『万葉集の民俗学的研究』(おうふう)。
執筆者 城﨑陽子