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万葉神事語辞典


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項目名 あすか
表記 飛鳥・明日香
Title
Asuka
テキスト内容 奈良県高市郡明日香村を中心とする地域を指す。日本書紀に登場する「アスカ」を冠する宮号を検討することで、飛鳥川右岸を狭義の飛鳥とみる見解をもあるが、おおむね先に示した香具山の南、橘寺までの四方を山に囲まれた一帯を指すとみてよい。この小地域に推古朝から天武・持統朝に至るおよそ100年間、孝徳朝の難波遷都や天智朝の近江遷都が行われ宮が飛鳥になかった時代もあるが、営々と天皇の宮が維持されていったのである。現在、この地域は「新益京」と記される「藤原宮」に対し、「飛鳥京」として歴史学的に位置づけられている。「飛ぶ鳥の 明日香の里」(1-78)と表現されるように、アスカは「飛ぶ鳥」を冠して表現される場合が多い。語義には諸説あるが、『古事記伝』には天武紀朱鳥元年(686)に献上された「朱鳥」の瑞祥によって宮号に「飛ぶ鳥」を冠し、ひいてはこれが宮の所在地にも冠されるようになったとされている。「飛ぶ鳥」の語からは、鳥の集く様や飛び交う様がイメージされ、ひいては土地柄の良い様、盛んな様としての讃美表現になったと考えるべきである。持統8年(694)に藤原宮に遷都した後は、「わが背子が 古家の里の 明日香には」(3-268)とか、「香具山の古りにし里」(3-334)といったように住み慣れた故郷として歌に表現されるようになる。
岸俊夫『日本古代宮都の研究』(岩波書店)。直木孝次郎『飛鳥―その光と影―』(吉川  弘文館)。
執筆者 城﨑陽子