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万葉神事語辞典


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項目名 あきつ
表記 蜻蛉
Title
Akitsu
テキスト内容 トンボの意。アキツの表記には「秋津」と「蜻蛉」の二通りがある。記の国生み神話には「大倭豊秋津島(おほやまととよあきづしま)」の称があり、稲の実り豊かな国土を記紀それぞれが「豊葦原千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのあきのながいほあきのみづほのくに)」「豊葦原千五百秋之瑞穂国(とよあしはらのちいほあきのみづほのくに)」と呼ぶことからも、実りの季節である「秋」を讃美する呼称としての「アキツ」が理解されよう。一方、トンボの意である「蜻蛉」「蜻」は、記紀の雄略天皇条に天皇が吉野の阿岐豆野で狩りをしていた時、一匹のアブが飛んできて天皇の腕に食いついた。そこへ、トンボが飛んできて、このアブをくわえて飛び去り、このことを讃えた天皇はヤマトの国号を「蜻蛉島(あきづしま)」としたことを伝えている。また、紀の神武天皇条に天皇が国見をし、国形を「蜻蛉(あきづ)の臀呫(となめ)の如くにあるかな」といったことから、アキヅシマの称が起こったと伝えている。「臀呫」は、雄雌のトンボが飛びながら交尾する様を指しており、引いてはトンボそのものが国の豊かさの象徴として表現されていると考えられる。双方の伝承は、秋の実りと、害虫を退治し、実りを象徴させるトンボの様がイメージとして重なり合うところに接点をもっており、アキツの語の意義もここにあると考えられる。『櫻井満著作集』5(おうふう)。
執筆者 城﨑陽子