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万葉神事語辞典


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項目名 あき
表記 安騎
Title
Aki
テキスト内容 奈良県宇陀郡大宇陀一帯の地。宇陀の地は神祭りの聖地であったと思われ、垂仁紀二十五年三月に倭姫命が天照大神の鎮座地を求めて菟田の筱幡に至ったという。以後、大神は近江から美濃を廻り伊勢の国に入ったと伝える。いわば、宇陀の地は天照大神が鎮座する予定の地であった。安騎の地は、柿本人麿が軽皇子の遊行に従い、この野に宿った時に「安騎の大野に 旗薄 小竹を押しなべ 草枕 旅宿りせす 古思ひて」(1-45)と、安騎の大野が歌われている。この軽皇子の遊行は、皇子の即位へと向かう、ある段階の祭祀が執り行われるためのものであったと思われ、ここにいう「古」とは直接的には即位出来ずに没した父の草壁皇子を指すが、また、この地は神武天皇の祭祀も近くの跡見山で行われており、初代天皇の祭祀を継承することで軽皇子の即位が可能となることを示している。この後すぐに軽皇子が文武天皇として即位することとなるのは、この地が日嗣ぎに重要な聖地であったからにほかならない。辰巳正明「安騎野の郊祀歌」『万葉集と中国文学』
執筆者 辰巳正明