國學院大學
國學院大學デジタルミュージアム

万葉神事語辞典


はじめに    ≫凡例    ≫項目執筆者一覧    ≫収録項目一覧

詳細表示 (Complete Article)

項目名 らくほ
表記 洛浦
Title
Rakuho
テキスト内容 神仙が住むという中国の洛水の浦。またはそこに住む神女。5-853序は松浦河(玉島川)を洛水に擬している。『文選』「洛神賦(らくしんのふ)」の影響が見られる。洛浦は曹植が、洛水の神女と出逢ったとされる場所。洛水には、中国の三皇・伏羲の娘が洛水で溺れて神(宓妃)になっており(『史記』他、「雒嬪(らくひん)」「洛神」とも呼ばれる)、琴を弾いていると、夜中に洛浦の女神と出会い、洛水をめぐる秘密を語る話も見られる(『太平広記』311「蕭曠遇女神」)。黄河の神・河伯(かはく)の配偶神。洛水の神女との出会いがモチーフとなった洛水の神女に関する説話は、神仙思想とともに日本にも広く伝わっており、松浦河序自体は、『遊仙窟』の趣向にならったところが多いと考えられる。5-853の鮎を釣る女達は、肥前国風土記「松浦郡」に神功皇后が新羅征伐の際に、鮎を釣り神意をはかった故事がふまえられており、春に女達によって鮎釣りが行われている風景は多く歌われるが(5-855他)、この女達は神事に携わる存在とみてよいだろう。川や海など「水の女」をめぐる神事と、その神の女達との出会いがモチーフの基底にあると考えられる。
執筆者 毛利美穂