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万葉神事語辞典


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項目名 やうら
表記 八占
Title
Yaura
テキスト内容 いろいろな占い。万葉集に「百積の舟隠り入る八占さし母は問ふともその名は告らじ」(11-2407)と詠まれる。大きな荷物を積んだ舟が入る浦、その〈ウラ〉ではないけれど、いろいろな占いを試して母がしつこく彼の名を問うが、私は決してその名前を告げません、というのである。古代では母親が娘を管理していた。「たらちねの母にも言はず包めりし心はよしゑ君がまにまに」(13-3285)のような女性の歌もあり、母親は娘から男の名を問いただすことに躍起だったのである。それでいろいろな占いをしたり、専門の占い師にお願いしたのである。万葉集では、津守氏や卜部氏のような専門的な卜占を行う者も見え、彼らは鹿の肩骨や亀甲を焼いて占ったと思われるが、庶民たちの占いは簡単な方法であったと思われる。「足占」(12-3006)は歩数を計って吉凶を占う方法、「夕占」(11-2506)は「夕衢占」(3-420)と同じく、夕方に八衢に出て道行く人の話から吉凶を占う方法、「石占」(3-420)は石の軽重を計って占う方法、「水占」(17-4028)は川に石を投げ入れて波紋で吉凶を占う方法であろうと思われる。そこには不安な事柄や判断不可能な事態について、占いをもって神の意志を聞こうとする態度が窺われる。
執筆者 辰巳正明