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万葉神事語辞典


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項目名 みつち
表記 鮫竜
Title
Mitsuchi
テキスト内容 竜に似た霊異な力をもつ想像上の動物。『和漢三才図絵』のみずちは、4本指の竜がかかれている。原文の鮫竜の鮫は、蛟の借用である。毒気を吐いて人を害するという。仁徳紀67年に「吉備中国の川島河の派(かはまた)に、大虬(みつち)有りて、人を苦しびしむ。時に路人、其の処に触れて行けば、必ず其毒を被りて多に死亡す」とある。『和名抄』に「蛟《美都知、日本紀私記用大虯二字》」とある。語源は、巳(み)ツ霊(ち)、水(み)ツ霊(ち)とする説がある。霊(ち)は、超自然の力、呪術的な力を表わす語で霊力のある神や物につける。久久遅(くくのち)(「祝詞」大殿祭)、軻遇突智(かぐつち)(神代紀上)、遠呂智(神代記)その他東風(こち)、雷(いかづち)など人にとって恐ろしいものばかりである。万葉集には、「虎に乗り古屋を越えて青淵に蛟竜(みつち)捕り来む剣大刀もが」(16-3833)と歌われている。人に害を与える蛟を退治するために、蛟を捕って来られる剣大刀があったら、と歌っている。虎に乗るのは、竜虎と並称されるように、対等の強さがあるためであろう。蛟竜は、荒ぶる神として恐れられている。「蛟竜得雲雨」(『呉志』「周瑜伝」)とあるように姿からみれば巳ツ霊であって、両者は通用する水神である。
執筆者 阿部誠文