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万葉神事語辞典


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項目名 はなづま
表記 花妻
Title
Hanazuma
テキスト内容 ①花のように美しい妻。②萩の花を鹿の妻に見立てた語。③神事のための潔斎や月の障りに際して、触れてはならない期間の妻をいう。花つ妻とも。①は、万葉集の大伴家持の歌に、妻大嬢をなでしこの花のように可憐な妻として「花妻」を用いた歌がある(18-4113)。②は、大伴旅人の歌に、庭に来て鳴く雄鹿は、萩の初花を妻問うために来ているのだとよまれている。③は、足柄の箱根の山のにこ草のような「花つ妻」ならば、(私はあなたの)紐を解かずに寝もしよう、しかしそうではないのだから(共寝しようではないか)、との意の歌がある(14-3370)。ここでは「花つ妻」を、一般に①と同様に「花のように美しく初々しい妻」と解し、お前はそうではないのだから(共寝してもよいだろう)、という揶揄を含んだ歌であるとされる。しかし一方で、触れてはならぬ期間の妻をいうものとの解もあり、共寝しえぬ、実のない「花」であることを嘆く男の歌であるともされる。
執筆者 渡邊明子