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万葉神事語辞典


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項目名 なつみ
表記 夏実・夏身・夏箕
Title
Natsumi
テキスト内容 奈良県吉野郡吉野町の地名。「なつみ」は、本来「魚津廻」であり、魚を捕る曲流の地域のことを示した名称。この地名は、万葉集の中には、「落ち激つ夏身の川門」(9-1736)や「大滝を過ぎて夏身にそほり居て清き川瀬を見るがさやけさ」(9-1737)、「吉野なる夏実の川の川淀に鴨そ鳴くなる山影にして」(3-375)などと詠み込まれている。これらの作歌から、現在の吉野川が「菜摘川」と呼ばれていたことも理解されよう。さらに、『懐風藻』では、藤原不比等による「五言、吉野に遊ぶ」に「夏身夏色古り、秋津秋気新し」とある。吉野は、記紀の伝承以来異界の地とされ、大和の王権が聖地として作りあげた。夏身は吉野における王権儀礼の重要な場所であり、同時に、異民族の祭祀儀礼の場であった可能性もある。魚は、その祭祀に用いられる神への供物であったが、大和の王権の成立によって、天皇への献上物の魚をとる地となり、地名となったと考えられる。
執筆者 城﨑陽子