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万葉神事語辞典


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項目名 とら
表記 虎・寅
Title
Tora
テキスト内容 「虎」は、ネコ目(食肉目)ネコ科の哺乳動物。十二支の一つ。万葉集には、4例が見られる。人麻呂による高市皇子挽歌の長歌に「あたみたる 虎か吼ゆると 諸人の おびゆるまでに〈一に云ふ、「聞き惑ふまで」〉」(2-199)と詠まれ、生前の高市皇子の猛々しい様を「虎」に譬えた例がある。この他、「虎に乗り 古屋を越えて」(16-3833)や「境部王、数種の物を詠む歌」にも詠み込まれている例がみられる。さらに、「乞食者が詠ふ歌」では、「韓国の 虎といふ神を 生け捕りに 八つ捕り持ち来 その皮を 畳に刺し」(16-3885)とある。紀の欽明天皇6年11月条には、膳臣巴提便(かしはでのおみはすひ)が、百済に遣わされた際に、同道していた子供を虎に食われ、その虎の皮を剥いで帰還した話がある。ここでは、虎に「威神(かしこきかみ)」と呼びかけている。こうした呼称は、どう猛な虎の生態によるものであるが、虎は、日本に生息せず、これらは伝聞によるものと考えられる。あるいは、朝鮮半島には虎が生息していたことから、韓半島の渡来人たちから伝え聞いたか。
執筆者 城﨑陽子