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万葉神事語辞典


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項目名 とものうら
表記 鞆の浦
Title
Tomonoura
テキスト内容 ①地名。広島県福山市鞆町付近の浦。②鞆は弓を射る際に、左の肘に付ける円形の籠手をいう。弓返りを防ぎ、かつ、その際の弦の音によって敵を畏怖させる用途とした。万葉集には「ますらをの鞆の音すなりもののふの大臣(おほまへつきみ)楯立つらしも」(1-76)と、もののふが威儀を正して儀式を待つ様を詠った歌がある。また、「ま幸くてまたかへり見むますらをの手に巻き持てる鞆の浦廻を」(7-1183)のように行路の安全を「ま幸く」と祈って「鞆」の地で詠まれた歌には「鞆の音」によって、災いを祓う習俗の存在がその背後にある。肥前国風土記松浦郡の神功皇后伝説として「鞆(登望)の駅」の地名起源があることからも、「鞆の浦」が「鞆」をめぐる呪的な習俗と無関係であるとは考えられない。ここには、手向けの地としての鞆の浦が地名として定着していく経緯がみてとれるといえよう。
執筆者 城﨑陽子