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項目名 | とこみや |
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表記 | 常宮 |
Title | Tokomiya |
テキスト内容 | 永遠に変わることのない宮殿。紀伊国、玉津島への行幸の際の赤人の歌に「やすみしし わご大君の 常宮と 仕へまつれる 雑賀野ゆ 背向に見ゆる 沖つ島 清き渚に」とあり、玉津島の宮を永遠の宮と定め奉仕するというのは、天皇の御世への繁栄表現である。また人麻呂の挽歌には、「御食向かふ 城上の宮を 常宮と 定め給ひて」(2-196)、「神葬り 葬りいませて 麻裳よし 城上の宮を 常宮と 高くしまつりて」(2-199)とあり、遺体を喪屋の安置し招魂儀礼を行う「殯」の期間を経て、死者を「葬」る場所を「常宮」という。これは墓所を指す。このように墓所としての「常宮」が宮讃め表現と共通するのは、死者が他界へ移行してもなお祀られる存在であるという死に対する世界観の認識であったものと思われる。 |
執筆者 | 鈴木道代 |
