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万葉神事語辞典


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項目名 つみ
表記
Title
Tsumi
テキスト内容 記紀において高天原の秩序を乱したスサノオが犯した罪を祝詞(「六月晦大祓」)では天津罪とし、地上の人々が犯した罪を国津罪とする。右の罪に対して、本居宣長は罪とは必ずしも悪しき行為ではなく、穢れや禍といった憎むべき凶事すべてが罪なのであると説く。また、ツミという語はツツミ(包、障)と関連があり、ツツミは、ツツムの名詞形で、事故や障害の意から、ツミの意も禁止を破って神意の働きをさまたげたり、さえぎったりするわざの意と解することができる。万葉集に罪は3例。丹波大女娘子の歌(4-712)に、愛するあなたに逢えないのは、大神神社の神人が大事に祀っている神木の杉に手を触れた「罪」だろうかとあり、ここでは罰(ばつ)の意で用いられている。また、山上憶良は沈痾自哀文のなかで、私のこの重病はいったいどんな「罪過」を犯した結果なのかと述べている。この罪の概念は仏教思想によるものであり、因果応報の思想と結びついて、苦の報いを招く、非難されるべき行為の意である。一方、律として定められていた犯罪の種類とその刑罰があり、重罪としての八虐(謀反・謀大逆・謀叛・悪逆・不道・大不敬・不孝・不義)が定められていた。万葉集には、安貴王の歌一首(4-534)と反歌(4-535)の左注に、安貴王が因幡の八上采女を娶ったことが「不敬之罪」にあたり、本郷に帰されたとある。
執筆者 大脇由紀子