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万葉神事語辞典


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項目名 たけ
表記 岳・嶽
Title
Take
テキスト内容 山岳。記の神代では、日子番能迩々藝命の天孫降臨に際し、「天の浮橋」から「竺紫の日向の高千穂の久士布流多気」に天降ったとしてあらわれ、雄略条では天皇の阿岐豆野への御獦における歌において「み吉野の小室が岳(多気)に」と詠まれている。神代・天孫降臨条では、天孫降臨において、「天の浮橋」から地上へと最初に天降る地として「たけ」が用いられ、雄略条では、吉野を起源とするあきづ島の神事歌謡の場として「たけ」が用いられている点から、「たけ」は人の世界において、神の降臨する場所としての意義があったと考えられる。万葉集では、藩国への使いの任を受けた大伴佐提比古の郎子が、航海の無事を祈って、松浦佐用比売が「領布」を振った際に詠まれた歌群(5-871~875)の中で、「この岳(多気)に領布振りけらし」(5-873)と詠まれており、航海の安全を祈る神事の場として「たけ」が用いられている。また、「高千穂の岳(多気)に天降りし」(20-4465)と、天孫降臨の伝承が詠み込まれており、「たけ」は、天孫降臨の地としての意義と、神事を行う場所としての意義を持つ語と考えられる。
執筆者 坂根誠