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万葉神事語辞典


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項目名 たけ
表記
Title
Take
テキスト内容 竹はイネ科タケ亜科に属する多年生植物。成長すると竹の子の皮が落ちる大型のものをタケ、葉が茎にのこる小型のものをササと呼んで区別する。常緑で驚異的な生命力をみせることから、古代では霊的な植物として考えられていた。竹を詠んだ歌は万葉集中に20首以上あるが、そのうち枕詞の用法のものが9首あり、「刺竹之大宮(人)」(6-955、6-1047など)「刺竹之皇子宮人」(2-167)「刺竹之舎人壮裳」(16-3791)など、宮廷に関係する語を導く。また、「辟竹之背向」(7-1412 )は二つに裂けた竹、さき竹のように背中合わせに寝るの意で用いられ、また「奈用竹乃」(2-217)「名湯竹乃」(3-420)という枕詞は、なよなよとした竹のしなやかさから、美しい乙女や石田王のような皇子のしなやかな風情を想像させる。また、平安時代以降代表的な早春の歌材となる竹と鶯の取り合わせもある。「み苑生の 竹の林」(19-4286)という雅やかな貴人の庭園にある竹林に以前鶯がしきりに鳴いていたが、雪はなおも降っている、今はその鶯も雪に降り込められていようという歌を大伴家持が詠んでいる。また家持は自宅の庭園にある「いささ群竹」(19-4291)に吹き通る風の音のうすれゆく感じを歌にしていて、竹を視覚ではなく聴覚によって繊細にとらえている。盛唐の詩人王維の漢詩「竹里館」に奥深く静かな竹林の中にある館で詩を吟じている詩人の境地が歌われていることを想起させる。一方、竹は丈夫な繊維と弾力性に富んだ性質で、加工も容易なものからさまざまな用途に利用されていた。「竹玉」(3-379)を用いて神に祈ったという歌があり、竹が神を祀る際に用いられたことを示すが、さらに呪的な用法については記に、弟との賭けの約束を守らぬ兄に対し、母が川の石を塩に混ぜ合わせて一節竹の葉に包み、籠にいれ、弟に呪詛させたものをかまどの上に置いたという物語がある。呪詛のため兄は8年病気になっている。
執筆者 大脇由紀子
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