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万葉神事語辞典


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項目名 しらか
表記 白香
Title
Shiraka
テキスト内容 万葉集中に「しらか」は3例(3-379、12-2996、19-4265)ある。いずれも「白香」とある。初出の3-379は大伴坂上郎女の祭神歌である。そこには「ひさかたの 天の原より 生れ来る 神の命 奥山の さかきの枝に しらか付け 木綿取り付けて」とある。『仙覚註釈』は紙の幣であるとし、『冠辞考』は木綿の枕詞として「木綿は白髪に似たる物なればしらがづくと冠らせいひたり、付はその物に似付てふ語のみ」としている。『全註釈』は、紙は外来品であったため古代の祭祀には使用されたはずが無く、紙幣は麻・楮の形を模したもので、紙が麻楮よりも安値になってからのことで、祝詞大祓の詞には、天の菅麻を八針に取りさくことがあり、麻・楮の類を細かく裂いて白髪のようにして神事に使用したとする。また『槻乃落葉』は、ただ白いことをいったとする。『沢瀉注釈』もこの説を支持している。「しらか」を裳の裾につけることについて『新考』は「またも逢はむよしもあらぬかしろたえの我が衣手に斎ひとどめむ」(708)を引き、「いにしへひとの魂を衣にいはひ留むる呪ありしにあらざるか」と述べている。祭祀と関わり深い語である。
執筆者 渡辺卓