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万葉神事語辞典


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項目名 しきみ
表記
Title
Shikimi
テキスト内容 植物名。もくれん科の常緑小高木。高さ3~5メートル。葉は長楕円形で先端がとがり、互生する。葉を傷つけると香気を発する。早春、葉腋に淡黄白色の小花をつける。果実は有毒で径約2.5センチメートル。榊が神事に使われるのに対し、樒は花柴(はなしば)、花狐(はなさかき)ともよばれ、仏前に供えたり棺に入れるなど、おもに仏事や葬式に用いられる。樒は墓などによく植えられ、葉や樹皮からは抹香や線香も作られる。もっぱら仏前に供えたところから「梻」の国字も作られたが、仏事だけでなく、神前に供え、門松に用いるなどの風習も地方によって見られる。また、樒を墓地に植えるのは、埋葬した遺体が獣にあばかれるのを防ぐ効果があるからともいわれる。しかし、平安中期の神楽歌の中に「狐葉の香をかぐわしみ求めくれば」とあるように、しきみも古くは神事用の常盤木である榊の一つであって、神仏両用に使われ、独特の香りをもつために、香の木、香の花、香柴ともよばれた。今日でも京都の愛宕神社では樒を神木としており、また愛知県北設楽郡などでは門松に樒を使うように、仏事以外にも用いられる例がある。万葉集の20-4476に見える。
執筆者 渡辺卓