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万葉神事語辞典


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項目名 さと
表記
Title
Sato
テキスト内容 律令の行政上の最小単位をいう。大化改新後の国郡里制では50戸を「里」とした。715(霊亀元)年の郷里制で「郷」と改称され、かつ、その下に里が置かれが、740(天平12)年頃廃止され、以後は「郷」が最小の区画となった。万葉集では「いや遠に里は離りぬ」(2-131、138)のように旅先で思慕する対象、あるいは、「故郷」(4-609、626)、「古家の里」(3-268)、「古りにし里」(3-333、334)などのように、なつかしく思う場所として詠われてもいる。また、里は人の住む場所として山や野に対する語として用いられる例もある(6-1047、14-3463)。ところで、万葉集では「故郷」あるいは、「古家の里」「古りにし里」といえば、もっぱら明日香を指している。中には「神奈備の里」(7-1125)の例もある。「神奈備」は「神の坐ます辺」の意であり、「神奈備の里」は明日香を指すと考えられる。神奈備の語がかかる地域としては他に「竜田」(8-1419、1466)の例が確認されるが、集中において神奈備の里は「明日香」の印象が強かったといえよう。ことさらに思慕する対象として明日香の里が歌に詠まれるのも、そこが神の坐ます里と考えられていたからである。
執筆者 城﨑陽子