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万葉神事語辞典


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項目名 さかき
表記
Title
Sakaki
テキスト内容 もとは常緑樹の総称であったが、現在はツバキ科サカキ属の常緑小高木をさす。葉に光沢がある。記の神代に、天照大御神が天の石屋戸に隠れたとき、八百万の神が天の安の河原に集い、天照大御神を再び石屋戸から出すために「天の香山の五百津真賢木(いほつまさかき)」を掘り取って、上の方の枝に御須麻流の玉を取り付け、中程の枝に八尺鏡を取り掛け、下の方の枝に木綿や麻布を取り付け垂らして、天児屋命(あめのこやねのみこと)が祝詞を唱え天宇受売命(あめのうずめのみこと)が神懸かりしたとある。また紀の神代上第七段一書第二に、日神が天石窟に隠れたとき、諸神は憂えて天糠戸者(あめのあらとのかみ)に鏡を造らせ、太玉に幣を造らせ、豊玉に玉を造らせ、山雷者(やまつち)に「五百箇の真坂樹(まさかき)の八十玉籤(やそたまくし)」を採らせ、野槌者(のつち)に「五百箇の野薦(のすず)の八十玉籤」を採らせたとある。同一書第三にも「真坂木」とあり、記に類似する記述がみられる。万葉集には「大伴坂上郎女の神を祭るの歌一首併せて短歌」として「ひさかたの 天の原より 生れ来たる 神の命 奥山の 賢木の枝に 白香つけ 木綿とり付けて」(3-379)と詠まれる。これらの記述は神を祀るかたちを表しており、サカキは神祀りにおいて不可欠な植物であった。『延喜式』巻第4、伊勢大神宮六月月次祭の規定には、神宮司が持つ「太玉串」に対して、木綿を著けた賢木を太玉串と名付けるという旨の注記がみられる。また巻第9斎宮式には、天皇即位後に伊勢大神宮の斎王を決定し、選ばれた内親王の家に勅使を使わして卜部が解除(はらえ)を行い、神部は木綿を付けた賢木を殿の四面および内外の門に立てるという規定がみられる。「栄木」「境木」などの語源説があり、現在でも榊に木綿や紙片を取り付け、神の依り憑く神籬(ひもろぎ)としたり、神に供える玉串の料とするなど神事に用いられる。
執筆者 舟木勇治