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万葉神事語辞典


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項目名 くれない
表記
Title
Kurenai
テキスト内容 ①キク科の2年草のベニバナ。ベニバナの花を染料とした鮮やかな赤色。染められた衣。②華やかさの形容。③秋の紅葉。①は「紅の末摘花」(10-1993)や「紅の深染めの衣」(11-2624)などから知られる。ベニバナは南西アジア原産とされ6、7世紀に日本に伝来した。本文を「呉藍」(11-2623)とするものもあり、語源はクレノアイ(呉の藍)で中国南方渡来の染料を意味する。「紅の裳の裾」(5-861)や「紅の赤裳裾」(9-1742)などの例もあり少女の形容や恋情の比喩とされた。②は荒廃した奈良の都を見て、都ぶりに深く染みてしまった心を表現している(6-1044)。その深い色合いとともに奈良の都の華麗さを表し、都の色の比喩である。③は「紅の まだらに見ゆる 秋の山かも」(10-2177)などの例がある。また、初婚の者が神へ献げる長歌にも「みもろの山は 春されば  春霞立つ 秋行けば  紅にほふ 」(13-3227)とあり、神代から語り継がれるみもろの山は、春は霞、秋は紅葉が美しいと理想の山の姿を通して神を祝している。神を祝すことで自分たちも祝して欲しいという願いがここにはあろう。
執筆者 落合孝彰