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万葉神事語辞典


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項目名 くすりかり
表記 薬狩
Title
Kusurikari
テキスト内容 薬用に鹿の若角(鹿茸)を採ったり、薬草を摘んだりする宮廷行事。紀には611(推古19)年5月5日に菟田野で薬狩をしたとあり、この頃から宮廷行事に取り込まれていった。しかし、万葉集の「乞食者の詠」には「平群の山の 四月と五月との間に 薬狩 仕ふる時に」(16-3885)とうたわれており、民間では日は一定しなかった。また紀には668(天智7)年5月5日に、天皇が大皇弟・諸王・内臣と群臣ら皆を従えて蒲生野に縦獦した事が記されている。その時の行楽では、額田王と皇太子(後天武天皇)の贈答が行われており、その額田王の歌には、「あかね」(紫草の根)・「紫野」(紫草の生えている野)・「標野」(天皇の薬狩の場で立ち入り禁止の野)・「野守」(その野を守る番人)・「袖」(そこに集まった宮廷人たちの装いの袖)と薬狩の場や採集する薬草などが詠まれており、盛大な行事を彷彿させる。『荊楚歳時記』には、5月5日に競って雑薬を採ることが記されている。『大戴礼記』「夏小正」によると、この日に薬を蓄えて毒気を除くとあり、そのために薬草を採っていたのである。さらに、艾を採り人型を作り、門戸の上に懸けて毒気を祓うこともされていたようである。
執筆者 大堀英二