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万葉神事語辞典


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項目名 きも
表記
Title
Kimo
テキスト内容 内臓。『華厳音義私記』に「心腎肝脯、肝訓岐毛」とあり、「肝 岐毛」とある。厳密には五臓の一つである肝臓をさすが、万葉集では、「むら肝の 心を痛み」(1-5)のように「むら肝」の用例で使われることが多く、心臓・肝臓・肺臓・胆嚢など、群がる臓器を意味し、「心」の枕詞となる。また「肝向かふ」は記歌謡に「肝向ふ 心をだにか」(60歌謡)のように見え、万葉集には「肝向かふ 心を痛み」(2-135)のように見える。「肝向かふ」は「心」の枕詞にもなり、肝臓に向かい合っている心臓の意味になる。中国文化では、『礼記』月令に「孟秋之月…其味辛。其臭腥。其祀門。其祭先肝」と、同郊特牲に「祭肺肝心、貴気主也」とあり、祭りで捧げるものとして肝があった。しかし、ここでの肝は五行に則った五臓の一つとして理解されており、内臓の総称として肝が理解されていたわけではない。欽明紀には欽明天皇が新羅の任那の民を凌辱することを「肝を刳き趾を斮りて、其の快に厭かず。骨を曝し屍を焚きて、其の酷を謂はず」という。残虐さを示すために、体の肝と骨を対にして表現している。
執筆者 大堀英二