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万葉神事語辞典


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項目名 きたいはやす
項目名(旧かな) きたひはやす
表記 腊ひはやす
Title
Kitaihayasu
テキスト内容 美味を賞讃する様。「腊ふ」は干肉にする意の四段動詞。『和名抄』に「腒腊、居昔二音、岐太比、乾肉也」とある。16-3886の「腊」は尼崎本・類聚古集に拠る。西本願寺本は「時」にする。ここでは、蟹を塩漬けにして丸干しにすること。「はやす」は、もてはやす、ほめそやすの意で、塩漬けにした蟹の干肉を賞美することである。干肉としての腊は、祭祀に用いられる神饌であり、『延喜式』四時祭上・春日神四座祭の解除料に「鰒・堅魚・腊の雑盛二籠」とあり、鰒や堅魚と一緒に「腊」である干肉も盛って神饌とした一例である。上代の祭祀において、例外はあるが、基本的には宍肉を用いることがないため、ここでの腊は、魚肉が使われていたものと思われる。また、中国の祭祀において腊は、重要な供物として位置づけられている。『礼記』玉藻に「特牲三俎あり」とあり、鄭玄はその「三俎」を「豕・魚・腊」だと規定している。豚肉、魚肉に並んで腊が挙げられている。日本においては、豚肉が取り除かれ、魚肉と腊が用いられているが、広く祭祀において干肉が重要視されていた点は、共通していたのである。
執筆者 大堀英二