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万葉神事語辞典


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項目名 きし
表記
Title
Kishi
テキスト内容 ①岩や石などの切り立ったところ。がけ。②きし。水際の断崖。万葉集の7-1159では、住吉の岸に生える松の根を洗うようにして、寄せてくる波が詠まれている。また、7-1150では住吉の岸に家があったなら、沖に海辺にと寄せてくる白波を眺め偲ぼうという。そのような住吉の岸に田を墾ろうという歌(10-2244)もあり、しかし、岩々の地に田を墾るというのは必ずしも適していたとは考えられない。住吉の岸には「埴生」つまり染料に用いることのあるハニ(赤土・黄土)の露頭地があったようである。万葉集にでは「住吉の岸の埴生」を詠む歌が多く、特徴的なものとして知れ渡っていたのであろう。また、2-143には有間皇子の結び松が「崖の松が枝」と詠まれており、海沿いの岸に生えた松であった。肥前国風土記の杵嶋郡に「巌の岸、峻極しくて、人跡罕に及る」とあり、岩などが切り立った場所で人が入るのが困難な場を「岸」と言っている。また常陸国風土記の久慈郡の谷合山について述べている箇所で「あらゆる岸壁は、形磐石のごとく」とあるように、山の切り立ったところも「岸」と言う。川の水際の断崖も「岸」と呼んでおり、「川岸の」(3-437)、「佐保川の 岸のつかさの」(4-529)とある。
執筆者 大堀英二