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万葉神事語辞典


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項目名 かり
表記
Title
Kari
テキスト内容 山野にわけ行って、鳥獣や魚貝、薬草などを採ることを総じてこう呼ぶ。万葉集には「み狩り」として詠まれるものが多い。「み」は畏敬の念を示すための接頭語であり、その狩が、天皇や神などの所有であることを示す。また、神功皇后摂政前紀、麛坂王(かごさかのみこ)・忍熊王(おしくまのみこ)の謀反条において、二王子が菟餓野で「祈狩(うけひがり)」をしたことが記されている。祈狩はその文脈から狩の獲物で吉凶の神意をうかがうことと解釈される。狩そのものが神意を問う手段となり得る点に万葉集に「み狩」と称される狩があることの本来的な意義が存在すると考えられる。舒明天皇が宇智の野で行った狩は「朝狩に 今立たすらし 夕狩に 今立たすらし」(1-3)と朝夕の狩が行われたことが表現されており、「四月と 五月との間に 薬狩仕ふる時に」(16-3885)と、1日のうちにその開始が定められていたものや、狩る目的によって時期を定めて行うものがあったこと、さらに、「梓弓末の腹野(はらの)に鳥狩する君が弓弦の絶えむと思へや」(11-2638)のように、鷹狩りが行われていたこともわかる。
執筆者 城﨑陽子