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万葉神事語辞典


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項目名 かむはかり
表記 神はかり
Title
Kamuhakari
テキスト内容 神々が会議を開いてどうすべきか判断し決定すること。神々のはからい。万葉集には人麻呂の詠む日並皇子挽歌に「天地の 初の時  ひさかたの 天の河原に 八百万 千万神の 神集ひ 集ひ座して 神はかり はかりし時に」(2-167)と見え、天地初発の時に神々が天の河原に集まり、天地を統治する神を相談して決定したという。「はかり」は秤で分量を量るのが元と思われ、その分量が正しくはかられることから来ていると思われる。万葉集に「事計りよくせ我が背子」(12-2949)とあるのように、計画性を持つこと、十分に分別を持つ意味で用いられている。人麻呂のいう「神はかり」は、神々が天地統治の神を決定する重要な案件に当たって、十二分な見識を持って審議を尽くす様をいうのであり、「神はかり はかりし」と「はかり」を繰り返すのは、一つの意見も漏れなく聞き取り、最善の結論を得るための方法を指す。いわば天地統治の神を決定するのは宇宙最大の重要課題への取り組みであるから、ここでは神々のすべての知恵を尽くして審議することをいうのである。このような認識は、律令時代において独裁的決定ではなく、君臣が会議に臨んで、君は臣下の意見を十分に聞いて政治案件を決定するという考えに基づくものと思われる。
執筆者 辰巳正明