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万葉神事語辞典


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項目名 かむ
表記 醸む
Title
Kamu
テキスト内容 酒を醸す。醸造する。酒は米や他の穀物を口で噛んで、発酵させて造ったことによる。仲哀記に息長帯日売命が待酒(まちざけ)を造って、息子である太子に献じたという記述がある。その際にうたわれた「酒楽(さかくら)の歌」では、この御酒は私が醸した酒ではなく、「酒(くし)の司(かみ)」である、常世にいらっしゃる少御神(すくなみかみ)が祝福し醸した酒であるから一気にお飲みくださいと、酒をほめ、神聖化している。神の醸した酒を献上することで、太子の神性を位置づけるのである。ここでいう「待酒」とは、帰ってくる人を待って、その無事を祈って造られる酒であり、万葉集の大伴旅人の歌にも「君がため醸みし待ち酒」(4-555)とある。酒を醸むという行為に、呪術性がこめられていたことが窺われる。また播磨国風土記託賀の郡の条に、道主日女が生んだ子の父神を知るために「盟酒」(神意を問うための酒)を醸したとの記述がある。
執筆者 渡邊明子