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万葉神事語辞典


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項目名 かみのわたり
表記 神之渡
Title
Kaminowatari
テキスト内容 海路の難所をいう。事故の多い海峡を荒ぶる神の領する渡海の場所として表現したもの。万葉集では13-3335と13-3339に見えるが、13-3339は13-3335に13-3336の一部を挟み込むような構造になっており、13-3335と13-3339とはかなりの類似をみせる。「神之渡」に関わる文脈では「吹く風もおほには吹かず」「立つ浪ものどには立たぬ」として荒れた海の描写がなされている。13-3339では巻13には珍しく題詞が付され、調使首が備後国神嶋の浜で屍を見て作るとするので、広島県福山市西部の海にあたるらしい。付近に神島と称する島があるが、古くは異なった島を指していたらしい。荒れた海に祭祀を行い神に祈ることは記紀の走水(馳水)の故事だけでなく、枚挙にいとまがない。難所であるために神の怒りが感ぜられるような場所、海上交通において、重要な目印になる、また、風向きや潮流が好都合になる地形など、神の恩寵が感じられるような場所、漂着神など神仏や祖霊・死者霊の出現が伝えられる場所に、神の存在を看取して祭祀を行うことは当然あったろうと思われる。
執筆者 斎藤静隆