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万葉神事語辞典


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項目名 かみのまにまに
表記 神のまにまに
Title
Kaminomanimani
テキスト内容 万葉集中「男子名を古日(ふるひ)といふに恋ふる歌」の長歌に「天つ神 仰ぎ乞(こ)ひ禱(の)み 国つ神 伏して額つき かからずも かかりも神の まにまにと 立ちあざり 我が乞ひ禱めど」(5-904)とみえる。「かからずもかかりも」とは、文脈上相対する表現であり、『代匠記(精)』は、これを「神ノ恵ニカヽラズモカヽリモ」と解したが、『童蒙抄』は文脈を忠実に読み取り、「如此あるもあらぬも」と解した。『攷証』はこれを受け、さらに具体的に「よしや如何(かく)あらで失るとも、また如此生てありとも」と解した。これらに対し、『全註釈』は「カカラズは病気でない状態をいひ、勿論そこに祈願の主願がある」として、「神のまにまに」を「すべて神意にもとづく」という思想を表現した語と説いた。人為によって、どうにもならない状態において、なお、良い方向へと展開するように願う心情が「神のまにまに」の語の背後にあるとみるべきである。「我が恋は千引きの石を七ばかり首に掛けむも神のまにまに」(4-743)とあるのは、恋の辛苦も「神意」によるものではあるが、このように詠うことによって、相手の同情を誘う恋の手管となっている。
執筆者 城﨑陽子