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万葉神事語辞典


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項目名 かみことよす
表記 神言よす
Title
Kamikotoyosu
テキスト内容 神の加護、助力の意。カミ(ム)コトは神の言葉、神託の意で、「神祇辞(かみこと)」(4-546)、「神言」(仲哀紀)、「神教」(神功皇后紀)などと表記される。カミコトヨスは神聖な神の言葉、神意を寄せる(神意をくだす)ことによって物事の進行を助け、協力する意味である。武田祐吉はカミコトヨスは本来神の託宣に関わる語であったと指摘する(『神と神を祭る者との文学』古今書院)。カミコトヨスの語は万葉集に2例ある。1例は笠金村の三香原の離宮行幸の折の「娘子(をとめ)を得て作る歌」に、「天地の神祇辞(かみこと)寄せて」旅先の娘子を妻に迎えた喜びが詠まれている(4-546)。『略解』に本居宣長の説として「事依(ことよさし)と同意にて、神のよせ給ひてと云也と言へり」とある。また、『攷證』に「俗言にいはば、神の引合せにてという意也」とある。これらを踏まえた『沢瀉注釈』は、「辞」は文字通り言の意で、神の言葉によって二人の仲がひきよせられた意とすべきだという。言葉をかける手立てもない娘子であったが、恋の成就の願いは神に聞き届けられ、天地の神の言葉が寄せられて(神が縁を取り持ち)みごと成就したという。他の1例は大伴家持の部下の「史生尾張少咋を教え喩す歌」(18-4106)に「天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらむと」とある。この場合は天地の神の助力で春の花のように栄える時もこようといった意である。春花のように栄えるようにとの願いが天地の神に聞き届けられ、神こと寄せて(神の加護により)、盛りの時が実現されるのである。武田祐吉『神と神を祭る者との文学』(古今書院)。
執筆者 川崎晃