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万葉神事語辞典


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項目名 おく
項目名(旧かな) をく
表記 招く
Title
Oku
テキスト内容 招く。呼び戻す。現代語の「呼ぶ」に近い万葉集の用法と異なり、紀では、特に天皇が、先導者としての国神や荒魂を招き寄せる際に「招(を)(撝)く」が用いられている(神武即位前紀・神功皇后摂政前紀)。折口信夫は、外来の威力を受けて出現する・彼方から来るという義の「をつ」が、人によってなされる時、「をく」(招く)と言ったか、とする(「若水の話」『全集2』)。万葉集には、鷹を呼び戻す、ほととぎすを呼ぶ例の他に、「梅ををきつつ」(5-815)という例がある。「をりつつ」とする本が多いが(類、西、温、矢、京、宮、陽)、廣瀬本、紀州本などの信頼できる非仙覚系の諸本(他に、細・無附)に「をき(乎岐)つつ」とあり、また追和歌たる家持歌(17-3901)の元暦校本本文が「をく(遠久)」であることから、一般に、「梅を擬人化して表した」もの(『新全集』)として、「をく(招く)」の例に数えられている。しかし、追和歌本文について、類聚古集・廣瀬本はじめ元暦校本以外の諸本では、「をる(遠流)」となっており、何より、「をく」では、他の「をく」例の示す「遠方より対象を呼ぶ」意にそぐわない。このため、当該例に関しては「をき(招き)」ではなく「をり(折り)」である可能性も残る。
執筆者 新沢典子