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万葉神事語辞典


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項目名 おおみて
項目名(旧かな) おほみて
表記 大御手
Title
Omite
テキスト内容 天皇・皇子などの御手。「大御」は、神仏または天皇に関係する名詞に冠せられて、最上級の尊敬を示す接頭語。上代文献では、万葉集に2例。うち作者判別歌は、柿本人麻呂作の高市皇子挽歌に詠まれた「大御手に 弓取り持たし」(2-199)のみであり、人麻呂による造語とみられる。壬申の乱において、天武天皇のもとに軍事統率の権限を委任された高市皇子が自ら御身に太刀をお佩きになり、御手には弓をお持ちになって軍勢を指揮したことを歌っており、皇子の戦場における雄姿を伝えている。672(天武元)年6月条には、自軍の智略家不足による不利を嘆く天武に、19歳であった皇子が「臂を攘り剣を按りて」と腕まくりをして剣を固く握りしめ、「臣高市」が「神祇の霊」を被り、天皇の命令を受けて討伐に向かうことを奏言し、力強く勝利を誓う記事がみられる。結果、天武は皇子を褒め、鞍を付けた馬を与えるとともに軍事の全権を委ねている。なお、当該例を「高市皇子が天皇に成り代わ」り軍勢を率いたゆえに用いたものとする説もある(『釈注』等)。このほか、「御手」を「おおみて」と訓む13-3324は、後人による人麻呂の模倣作とされる。
執筆者 小林真美