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万葉神事語辞典


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項目名 うらどふ
表記 占問ふ
Title
Uradofu
テキスト内容 占いを行う人に占いをしてもらう意。万葉集には、「占部をも 八十の衢も 占問へど(占雖問) 君を相見む たどき知らずも」(16-3812)の1例。「うらどふ」は、この「占問へど」から「うらどふ」という1語を抽出した場合に存在することになる動詞。ただし「うら」+「とふ」と、2語に理解すれば、本項目の動詞は存在しない。「うら」+「を」+「とふ」という表現は、「夕占を 我が問ひしかば」(13-3318)とあり、当該例も「うら」+「とふ」の可能性が高い。もっとも13-3318の「夕占」を「ゆふけ」と訓むと、問題は複雑になる。今は「うら」+「とふ」の2語と理解しておく。また、「うらどふ」は「占」を行う側に視座はなく、自分にはできない「占」を他人に頼む側の論理に基づく語である。従って、当人にとって重要なことは「占」の結果の当否にあるはずだが、実際には「夕占にも 占にも告れる」(11-2613)、「占部をも 八十の衢も 占問へど」(16-3812)、「八占さし」(11-2407)のように複数の占いをする歌もあり、みずからにとって都合のよい結果を探し求めているように見える。もっともこれは、現在世に流布している無数の「占い」の現状を考えると、当然であろう。「夕占にも 占にも告れる 今夜だに 来まさぬ君を 何時とか待たむ」(11-2613)にも見られるように、「占」の結果はしばしば裏切られるものであり、それを知りつつも「占」を歌うのが当時の相聞歌のありようなのだろう。なお、「占」の結果は、旅に出た男の帰りを占う13-3318によれば、「我妹子や 汝が待つ君は…(中略)…久ならば いま七日だみ 早からば いま二日だみ あらむとそ 君は聞こしし な恋ひそ我妹」(我妹子よ、あなたが待っている君は長ければ七日、短ければ二日、そう君は仰ったよ、だからそんなに恋しなさんな、我妹子よ。)と占いを行う者の発話と旅に出ている男の発話とが渾然一体となり、曖昧なものになっている。これも現在の占いと通底するものであろうか。
執筆者 村田右富実