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万葉神事語辞典


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項目名 うら
表記 卜・占
Title
Ura
テキスト内容 占いのこと。「うらなひ」という名詞は上代には見られない。「うら」は外在する結果や現象を吉凶判断や未来予測に関係づける行為全般をあらわすことばである。そしてその外在する結果や現象をもたらすものは神と見なされるのが一般的である。「うら」の仮名書きは「武蔵野に占部かた焼きまさでにも告らぬ君が名占に出にけり(宇良尓低尓家里)」(14-3374)の東歌の1例のみ。このように単独の「うら」もあるが、他に「あしうら」、「いしうら」、「みちゆきうら」、「みなうら」、などと熟した形も多く、占い全般を指す語として理解されていたといえる。実際にどのように「うら」が行われたかを検証することは難しいが、弥生時代の遺跡から卜占に用いられたとおぼしい獣骨が出土していることや、記紀に見られる「盟神探湯」や「太占」の用例を「うら」の一形態として認定することに問題はなかろう。しかし、それでもなお、万葉集に歌われる「うら」とそうした例を直接的に関係づけることは難しいだろう。なぜなら、万葉歌の「うら」の用例の多くは相聞歌のものであり、「うら」の結果を知る(知ってしまう)当人にとっては、それが重要であるには間違いないが、人の生死に関わるような切迫した「うら」の用例はほとんど見られないからである。実際に、「うら」をする慣習が当時の人々の間にあったことを否定するわけではないが、たとえば、「夕占にも 占にも告れる 今夜だに 来まさぬ君を 何時とか待たむ」(11-2613)のように、当たらなかった「うら」が歌われることを考えあわせると、「うら」の結果が行動基準や判断基準に関わる最終的な機能を有していたとは思えない。なお、「職員令、神祇官」には「凡灼亀占吉凶者、是卜部之執業」とあり、「亀卜」は神祇官に属していた。一方、「職員寮、陰陽寮」には、「陰陽師六人 掌。卜筮相地」とあり、「卜筮」は中務省に属している。
執筆者 村田右富実