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万葉神事語辞典


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項目名 うましね
表記 味稲
Title
Umashine
テキスト内容 拓枝(つみのえ)伝説(拓枝(しゃし)伝)に見える人物名。『懐風藻』(「遊吉野」「遊吉野川」など)では美稲(うましね)、『続日本後紀』の849(嘉祥2)年3月の長歌では熊志祢(くましね)となっている。万葉集では3-385の左注に1例だけ登場するが、この左注では味稲について、吉野の人で拓枝仙媛(つみのえやまびめ)に歌を贈ったとしている。拓枝伝説は現在その全貌が分からず、内容の推定は諸説あるが、万葉集(3-386)では、拓(山桑)の枝が梁(やな)(魚を捕るための仕掛け)にかかったとあり、『懐風藻』では、美稲(うましね)が浮き木の流れてくるのに出会ったとあり、『続日本後紀』では吉野の熊志祢(くましね)の所に天女が通ってきて、後に毘礼(ひれ)衣(女性の服飾具)を着て飛び去ったとある。これらを総合するに、拓枝伝説とは、吉野川の漁師であったウマシネが、梁にかかった拓の枝を拾うと、それが美女の拓枝仙媛と化し、やがて二人は同棲したが、後に美女が昇天したという筋であったと想定できる。もとは白鳥処女伝説の一種であり、これに中国渡来の神仙思想をからませたものと考えられる。このように想定できる拓枝伝説は、男神が女性の所に丹塗矢(にぬりや)(赤い矢)の姿で訪れる「丹塗矢説話」に類似している。
執筆者 山﨑かおり