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万葉神事語辞典


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項目名 いわういのち
項目名(旧かな) いはふいのち
表記 斎ふ命
Title
Iwauinochi
テキスト内容 身を清め穢れを祓って祈る自らの命。美しい清らかな川原でみそぎをして「斎ふ命」は恋人のためと歌う相聞歌(11-2403)の中に見られる。また防人歌では、恐ろしい神の住む御坂に幣を捧げ、「斎ふ命」は母父のため、と歌う(20-4402)。無事に生きて帰るのは家で待つ母父のためであり、そのために交通の難所であり、異国への境界である峠の神に祈り、神を祭る行為を行うのである。これらの場合は何れも、自らにとって大事な恋人や親のために身の安全を願う場合に用いている。通常「いはふ」は呪術的行為を表わす語で、忌み慎んで祈る、神を祭る、の意を持ち、遣新羅使人歌や防人歌など、羈旅歌に多く見られ、旅ゆく者の無事を祈願して待つ家人の行為、または家人の無事を祈る旅人の行為として歌われる。旅人は家人の「いはひ」によって無事に旅が出来ると信じ、逆に「いはひ」が不十分であれば危難が及ぶと考えた(15-3688)。基本的には相手の身を案じるための「いはひ」であるが、「いはふいのち」と歌う場合は自身への「いはひ」である点に特徴があるが、その目的は愛する相手を悲しませないためである。
執筆者 谷口雅博