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万葉神事語辞典


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項目名 いね
表記
Title
Ine
テキスト内容 いね。南方熱帯地方が原産地といわれ、古く我が国に渡来し、縄文時代より陸稲、更には水稲の栽培が行われていた。成熟の遅速によって、早稲(わせ)・中稲(なかて)・晩稲(おくて)などの称があり、また米粒の含んでいる澱粉の質により、粳(うるち)・糯(もち)などの種類がある。神代紀第五段十一の一書に、月夜見尊に殺された保食神の体から牛馬・繭・穀物が生じたという話の中で、腹から稲がなったと記す。万葉集では恋の歌の中で生活に密着した表現として歌われる。東歌の相聞歌では、稲を搗いて荒れた私の手を、今夜もお館の若殿が取って嘆かれることだろうかと、地方豪族の子息に愛されている女性の立場、もしくはそういう願望を歌った趣の稲搗きの作業歌(14-3459)が歌われている。また、同じく東歌の下総国の相聞歌には、早稲を神に捧げる新嘗の夜、神を迎えるために忌み籠る夜でも、あのいとしい人を外に立たせてはおけないと歌ったものもある(14-3386)。共同体の祭祀が絶対的なものである故に、強い恋情を示すには有効な表現となり得ている。
執筆者 谷口雅博
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早稲