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万葉神事語辞典


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項目名 いがき
表記 斎垣
Title
Igaki
テキスト内容 神社の周辺の垣。常緑樹による生け垣のことであろう。イは接頭語で神聖な意を表す美称である。同意語に「瑞垣(みずがき)」(4-501、11-2415、13-3262)がある。『和名抄』では「瑞垣」を俗にミヅガキ、一説にイガキと読むとしていることから、ミズガキとイガキが同意語であることが分かる。また記の雄略条の歌謡の「玉垣」も、同様に神域の垣と考えられる。イガキは万葉集に1例、「神の斎垣も 越えぬべし」(11-2663)と出てくる。これは神祇によせた恋歌で、神の斎垣を越えてでもあなたに会いにいこうという、恋の強い意志が詠まれている。『釈注』によれば、この歌は人妻に対する恋を詠んだと考えられるという。ちなみに「垣」は万葉歌において、相聞的発想のもとに、男女の隔てを象徴する存在として詠まれることが多い。「葦垣越しにただ一目相見し児故千度嘆きつ」(11-2565)などがその例として挙げられる。また「葦垣の末かきわけて君越ゆと人にな告げそ事はたなしり」(13-3279)も同様に、人に知られないように垣根を越えて恋人の屋敷に忍び入るという趣旨の歌である。同様に男女の隔てを象徴する存在として「斎垣(いがき)」を詠んだ11-2663では、斎垣が神社のものであるという性質から、「垣」よりも禁忌性が強調されることになる。
執筆者 山﨑かおり