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万葉神事語辞典


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項目名
表記
Title
i
テキスト内容 人の生活に欠かせない水を汲む場所。乙女が水を汲みにやってくる場所として詠まれることが多いが、天武紀には飛鳥宮の御井の傍らで鼓笛を習わせると見え、多目的広場(フォーラム)としての性格もあるようだ。藤原宮の宮ほめの歌では御井が中心に表現されており(1-53)、そこに聖水信仰を見出す見解がある(城﨑陽子「藤原宮御井歌」『万葉集編纂と享受の研究』)。同じ趣向の歌として、伊勢の国の国ほめ歌では山辺の五十師の原に奉仕する大宮人を歌い、反歌に山辺の五十師の御井を中心に据えて歌ったものがある(13-3235)。また、水の滾る「走井」の上で言挙げをしないのに霧が結ぶという歌(7-1113)を見ると、聖水信仰をベースに井という空間を呪術発動の磁場とする発想も持たれていたようだ。古を恋う鳥が御井の上を飛ぶという表現も(2-111)そういう発想に基づく表現だろう。また乙女が水を汲みに来る場でもあるから、男が女を目にする機会を得る場でもあったらしい。筑波山の歌垣は裳羽服津と呼ばれる井のほとりで行われているし、住江の小集楽の歌垣も川のほとりであり、水は男女の出会う場には付き物であるらしい。フォーラムとしての井は、水への信仰を中心とし、呪術的空間や、また男女の出会いの場という性質をもっていたと見られる。
執筆者 志水義夫
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