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万葉神事語辞典


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項目名 あやめぐさ
表記 菖蒲草
Title
Ayamegusa
テキスト内容 サトイモ科のショウブの古名。一方に観賞用のアヤメもある。邪気を祓い、長寿をもたらす植物として見られ、端午の日に薬玉にしたり、カズラにしたりした。集中の「石田王の卒りし時に、山前王の哀傷して作る歌」(3-423)に、5月には菖蒲や橘の花を玉のように緒につらねてかずらにしよう、と歌われている。菖蒲のかずらをかぶることで、邪を追い祓い健康を祈ったのであろう。一方、菖蒲草を玉として緒に通す習俗もみられ(8-1490)、5月の端午の日に菖蒲草を薬玉とする習俗が多く歌われている。『続日本紀』の747(天平19)年5月5日に太上天皇が、「昔は五月の節に常に菖蒲を用いてかずらとしたが、この頃すでにやめてしまった。これから菖蒲のかずらをしない者は宮中に入ることを禁止する」と詔した。この記事から古代日本には端午の日に菖蒲のかずらをしたことが知られ、また天皇が絶えてしまった習俗を復活しようとしたことが認められる。端午の日に菖蒲草を用いて邪を祓うことは、中国から伝来したもので、中国では端午の日に菖蒲草をきざみ酒に浮かべて飲み、香気によって、病を追い祓い長寿になると考えられてきた。つまり菖蒲草は邪気を祓うものとして信じられてきたのである。日本にいつこの習俗が伝来したかは不明であるが、中国の暦の輸入に伴い、五節供の行事が整えられ、その風俗習慣も日本に受け入れられた。これらの五節供は、生命の無事や長命を祈るもので、5月5日の端午もその一つである。
執筆者 曹咏梅
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あやめ