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万葉神事語辞典


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項目名 あめつちのわかれしとき
表記 天地之分時・天地之別時
Title
Ametsuchinowakareshitoki
テキスト内容 宇宙の空間的初源をいうことば。この世の始まりに対する神話的認識に支えられる。宇宙創世神話には世界的に剖判型・出産型・卵生型などが見られるが、剖判型神話(開闢神話)による表現である。紀では『三五歴記』『淮南子(天文訓)』に出典を持つ開闢神話が語られ記序にも開闢神話を語る。ただし、記本編は「天地初発之時」として、開闢神話である確証のとれない叙述となっている。記紀に共通するのはイザナキ・イザナミによる国生みだから、万葉びとが漢籍を学ぶうちに自然定着した神話だと考えた方がよい。事実、万葉集では山上憶良による七夕歌(8-1520)と山部赤人の富士山の歌(3-317)でしか用いられていない。記の冒頭一句の訓として宣長が採用した「あめつちのはじめのとき」も七夕歌で用いられているが(10-2089)、やはり憶良が開闢神話を用いている点(いいかえせば憶良ではない未詳の人物がハジメノトキを使っている点)は、やはり本来「初めの時」くらいで茫洋としていた宇宙の始原についての観想が、天地双分観と結びついて漢籍などを通じて「わかれしとき」と具体化されたとみる方がいいだろう。
執筆者 志水義夫