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万葉神事語辞典


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項目名 あまじ
項目名(旧かな) あまぢ
表記 天道
Title
Amaji
テキスト内容 万葉集では「夕星(ゆふつづ))も通ふ天道(あまぢ)を何時までか仰ぎて待たむ月人をとこ」(10-2010)のように「天道」は天上の道の意、「ひさかたの天道は遠しなほなほに家に帰りて業(なり)をしまさに」(5-801)のように天へ昇る道、「布施(ふせ)置きて我は乞ひ禱(の)むあざむかず直に率行きて天道知らしめ」(5-906)のように天上世界そのものの意を示す3例がある。奈良県高市郡明日香村のキトラ古墳の天井に描かれた天文図が示すように、当時の人々が天文学の知識を有していたことは明らかであり、夕星(=金星)が通う空の道を「天道」と表現することには、こうした知識の裏打ちがあったことがわかる。また、転じて世俗を捨て、聖として天(=仙界)に生きるべくたどる天への道、さらには、「布施」をして、祈る「六道」のうちの一つである「天趣道」と詠われる。いずれにせよ、人が歩むことのできない道をこう呼び、天と地を巡る世界観を表現する語であると考えられる。
執筆者 城﨑陽子