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万葉神事語辞典


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項目名 あかきこころ
表記 赤き心
Title
Akakikokoro
テキスト内容 邪心の無い清らかな心。大伴家持は「皇祖の 天の日嗣と 継ぎて来る 君の御代御代 隠さはぬ 赤き心を 皇辺に 極め尽くして」(20-4465)と詠む。大伴氏は天孫降臨の折に、ニニギの命に従って高千穂に降り、以来、先祖は天皇の御代ごとに天皇を守護して来た氏であることを誇りとし、天皇に対して清らかな心で奉仕してきたことを述べている。そうした赤き心の源は、例えばスサノオの命が姉のアマテラスの神に自らの心の清らかなことを「誓約間、生女為黒心。生男為赤心(この誓約において、女の子が生まれれば悪い心があるとしましょう。男の子が生まれれば清らかな心であるとしましょう)」(神代紀)というところに見える。清らかな心は、言葉のみで証明出来るのではなく、あくまでも神との誓約の上で神の意志が現れて、初めてその是非善悪が確かめられるというのである。このような考えは敏達紀に「用清明心、事奉天闕(清き明き心をもって、天皇に奉仕する)」というように、「清明心」と等しいものであると思われる。このような「赤き心」は中国において「示其赤心奉神也」(『後漢書』巻30)、「赤心奉国」(『北斉書』巻34)のように、神や国への忠誠を表すのが基本であった。
執筆者 辰巳正明